ワンちゃんネコちゃんには日常生活の中で、感染する可能性のある病気があります。その中には命を脅かす危険な病気があります。
当院では、病気の予防にも力を入れておりますので、ご希望される方は一度ご相談ください。
混合ワクチンとは
ワクチンとは細菌やウイルスよって引き起こされる感染症を予防するための医薬品です。
ワクチンを接種することによってワンちゃんやネコちゃんの命に関わる感染症を予防することができます。また、感染してしまってもワクチンを接種していれば症状を軽くすることができます。
犬のワクチン接種方法の変更について
当院では、世界小動物獣医師会(WSAVA)が提唱しているワクチン接種ガイドラインに基き、2018年から犬のワクチンの接種方法を以下の通りに変更しております。
犬のワクチン接種
ワクチンには「コアワクチン」と「ノンコアワクチン」とがあり、犬の場合は致死性が高く、すべての犬が接種すべき「コアワクチン」として犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルス、犬パルボウイルスの3種が規定されています。
これらの「コアワクチン」については抗体価検査を行い、個体の抵抗力を確認した上でワクチン接種が必要かを検討することを推奨しています(後述)。
それ以外のパラインフルエンザやレプトスピラなどは「ノンコアワクチン」に分類されます。これらについては生活する地域やライフスタイルによって接種を検討します。
※狂犬病ワクチンについて
狂犬病予防法により毎年の接種が義務づけられているため、抗体検査は行いません。
成犬の場合
ワクチンの接種前にワクチン抗体検査(血液検査)を行うことをおすすめしています。ワクチン抗体検査の結果により、ワクチン接種が必要な場合には後日接種を行います。
子犬の場合
子犬のワクチネーション開始時の週齢(年齢)に従って生後16週齢以上まで3~4週間隔でワクチン接種を行います。その後1ヵ月後に抗体検査を行い、検査結果によって再接種が必要な場合は後日接種を行います。
ワクチン抗体検査(犬)
ワクチン抗体検査とは、ワクチン接種によって体内に作られた抗体(抵抗力)がどれくらい残っているかを確認する検査です。
検査により、ワクチンの効果が十分に残っているかを把握することができます。
当院では2018年よりワクチン抗体検査キットを導入し、院内で抗体検査を実施しています。
この検査では犬の「コアワクチン」3種のウイルスについての体内の抗体を調べることができます。
抗体検査が陽性(抗体がある)の場合は「抗体検査証明書」を発行しております。
※検査には血液の採血が必要です。
※検査費にはワクチン接種の費用は含まれておりません。
※検査のご報告には最大で1週間ほどかかります。検査結果が陰性(抗体がない)の場合、後日ワクチン接種のためご来院が必要です。
混合ワクチンの種類(犬)
6種混合ワクチンと8種混合ワクチンをご用意しております。
飼い主様のご希望により、1年毎の接種にも応じております。
その他、2種混合ワクチンやレプトスピラ単独ワクチンもご用意しています。
ワクチンの種類は抗体検査やそれぞれのライフスタイルにあったものを獣医師とご相談の上、お選びいただけます。
猫のワクチン接種
3種混合ワクチンと5種混合ワクチン、猫免疫不全ウイルス(FIV)ワクチンをご用意しております。
従来通り1年毎の接種を行っておりますが、ご希望により抗体検査(外注検査)もお受けできます。
※5種混合ワクチン、猫免疫不全ウイルスワクチンの初回接種時前には、猫エイズ・白血病ウイルス検査を行うことを推奨しております。
狂犬病について
狂犬病は人獣共通伝染病で、犬をはじめとする哺乳類全般が感染するウイルス性疾患です。現在のところ、狂犬病に対する有効な治療法はなく、犬も人も感染すれば致死率がほぼ100%という非常に恐ろしい病気です。 日本では、狂犬病予防法により毎年一回予防接種を受けるよう義務付けられています。そのためもあり、50年以上狂犬病の発生は報告されていません。しかし、日本近郊のアジア各国をはじめ、世界の大部分の地域では多く発生しています。 そして昨今の不法入国や密輸による動物の侵入などにより、いつ狂犬病の動物が入ってきてもおかしくない状況です。 万が一日本に入ってきてしまった場合に備え、検疫の強化とともに飼い犬全体の免疫保有率を常時高くしておくことが大切です。
狂犬病ワクチンの接種について
生後90日を過ぎたワンちゃんは、飼い主のもとに来てから30日以内に1回、それ以降は年1回のワクチン接種が必要です。
当院では、上尾市、桶川市、さいたま市、伊奈町在住の患者様については、狂犬病の登録、済票の発行、送付を代行させていただいております。 ただし、送付までにはお時間をいただくこともございますので、ご了承ください。 また、狂犬病鑑定書のご用意もできますので、お気軽にお申し付けください。
ワクチン接種後の注意事項
- ワクチン注射をした日は激しい運動を避けてください。
- ワクチン注射をしてから数日はシャンプーを控えてください。
- 注射後、元気や食欲が無くなったり、軽い発熱があったり、便が軟らかくなることがあります。そのような場合、安静にしてください。
- まれに高熱や嘔吐、下痢、痙攣、唇やまぶたの腫れ、痒みなどの異常がみられることがあります。このようなときは、ワクチンによるアレルギー反応が考えられます。早急に当院にご連絡ください。
- ワクチンを注射した部分が腫れることがあります。数日経っても腫れがひかない場合、ごく稀に肉腫(癌)(およそ1万頭に1頭の割合)になることもあります。このような場合は、当院にご連絡下さい。
フィラリアの予防
フィラリア症とは、犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)と呼ばれる寄生虫が感染する病気です。フィラリアは、蚊によって媒介されるため、蚊のいる所なら日本中どこでも感染します。手遅れになると死に至ることもあるため、定期的な検査と予防が重要とされています。
当院では、犬、猫、フェレットに対して、フィラリア症の予防を勧めています。
フィラリアの感染ルート
蚊の体内で成長したミクロフィラリアと呼ばれる幼虫は、犬が蚊に刺される時に犬の体内に侵入します。侵入した子虫は、犬の体内で成長して、フィラリア成虫(親虫)となって、心臓に到達します。やがて、親虫からは新たな子虫が生まれ、再び蚊に刺されるときに、今度は蚊の体内に子虫が移動していきます。
フィラリア症の症状
感染しても無症状で普通に生活している犬もいます。しかし、多数のフィラリア寄生があったり、心臓や肺の血管に負担がかかってくると、以下のような症状が出てきます。これらを放っておくと、死に至ることも少なくありません。また、中には大静脈症候群という状態になり、急死してしまう場合があります。
- 何かを吐き出したそうな咳
- お腹が膨らんでくる(腹水の貯留)
- 痩せてくる
- あまり運動したがらない
フィラリア症の検査方法
フィラリアに感染しているかどうかは、血液検査で簡単に調べることができます。
<フィラリア抗原検査>
検査キットを使用して、体内に親虫がいるかどうかを検査します。
<ミクロフィラリアの検出>
血液を顕微鏡で観察して、ミクロフィラリアがいるかどうかを検査します。
フィラリア症の予防
蚊によって感染するので、犬小屋に防虫用の網を張ったり、蚊取り線香などを使用するのも有効ですが、完全に蚊を防ぐことはできません。予防薬の投与が最も確実で簡単な予防方法です。
埼玉県あたりですと、4月末~11月末くらいまで、1ヶ月に1回の予防薬を飲むことが勧められます。予防薬には、粉剤や錠剤の他、チュアブルタイプのものやスポットオンタイプのもの(皮膚につけるタイプ)があります。最近では、ノミやマダニも一緒に予防できる錠剤、チュアブルタイプの予防薬が人気です。予防薬には種類がたくさんありますが、フィラリアの他にノミやマダニも予防する必要性があるか、また与えやすい剤型は何かという点で選ぶとよいと思います。
ネコちゃんではノミなども一緒に予防できるスポットオンタイプとなります。