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キーストン

寒い日がつづきますが、皆様お変わりありませんでしょうか? 動物看護師 関 依子です。

今日は私が大好きな馬のご紹介。 12月17日・・・「キーストン」という馬の命日です。 1967年、今から48年も前の出来事ですが、今でも語り継がれる名馬の最期

私が好きな本「星の王子さま」に出てくる言葉で❝かんじんなことは目にみえないんだよ。心でみなくちゃ 物事はよくみえないってこと❞と、あります。心と心の絆は、目で見ることはできませんが、キーストンは それを多くの人に見せてくれた、心優しき馬です。

キーストンは、G1レースである「日本ダービー」で当時優勝した、逃げ脚を得意とする競走馬です。 キーストンの手綱をにぎるのは山本正司騎手。数多くのレースでコンビを組んでいたキーストンと山本さんには、強い信頼関係があったようです。レースに負けて落胆する日も、勝って喜びにあふれる日もふたりは一緒でした。 迎えた1967年12月17日。この日のレースもキーストンは快調に先頭を走り、逃げ脚の強さを見せつけます。 ゴールまであと300メートル、突然キーストンは前のめりになり崩れ、鞍上の山本さんは放り出され頭を打ち、 気を失ってしまいます。キーストンの左前肢は完全に折れ、風になびくほどぶらぶらの状態。激痛で我を忘れ 狂ったように暴れてもおかしくないはずなのに、キーストンは振り返りおろおろしながら山本さんを探します。 倒れている山本さんを見つけると、折れた脚をひきずりながら近づき、鼻先でそっと揺り起こします。 奇跡的に意識を取り戻した山本さんは、朦朧しつつ立ち上がりキーストンを抱きしめます。これがふたりにとって 永遠の別れになることをわかっているのか、お互いに寄り添いひとつであろうとするかのように・・・。

見えない絆が見えた瞬間。儚くも美しく、悲しい光景。

駆けつけた厩務員にキーストンを託すと、山本さんは再び倒れてしまいます。キーストンは予後不良とされ、 ほどなく安楽死の処置がされました。山本さんは運ばれた医務室で意識を取り戻しキーストンの死を知ります。 キーストンの亡骸にすがり、山本さんはいつまでもいつまでも泣いていたそうです。

私はテレビでこの実話を知りました。VTRで流れたふたりの絆に涙があふれて止まりませんでした。私には キーストンが山本さんに❝ごめんね❞と言っているように思えたのです。「レース、最後まで走れなくてごめんね。 振り落としちゃってごめんね。もう、一緒にはいられなくなる ごめんね・・・」

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後に山本さんは、騎手を辞め競走馬調教師となります。

「騎手として、たぶん多くの人の印象にはのこらないタイプだった僕が、キーストンでダービーに勝てて、 あの日の事故で、これは不幸をキーストンがひとりで背負ったんだけど、人の心に僕のことも印象づけてくれた。 それが調教師になったあとの僕をどれだけ後押ししてくれたか分からない。馬主からの救援や依頼が絶えないのも、 本当にあの子のおかげだと心から感謝しています。」 今でもキーストンを想う山本さん。テレビのインタビューではこう語っていました。 「自分が死んで向こうの世界に行ったら、いちばん最初に会いたいのはキーストンだから・・・」

目にはみえなくても、確かにそこにある絆。言葉はなくても、心と心が通じ合い、強い絆も結ばれます。 それは人と動物でも同じこと。家族として一緒に暮らすわんちゃんねこちゃんとの心の絆、皆さんもきっと よくご存じではないでしょうか?